夏の終わり、こんなお電話をいただくことがあります。
タナカさんで麻の蚊帳を購入した者です
蚊帳のおかげでひと夏安眠できました
よかったです
片づける前に蚊帳を洗いたいんですが
どうやって洗ったらいいですか
天然繊維の蚊帳は洗わないでください
洗わずに陰干しして片づけてください
でも洗いたいんです
水洗いはしないでください
少しだけならいいですよね?
水洗いはぜったいやめてください(泣)
タナカでは麻・綿などの天然繊維の蚊帳の水洗いはできないとご案内しています。
でも実際に水洗いしてみないと本当かどうかわからないし、納得できませんよね?
お客様に代わって、タナカが天然繊維の蚊帳生地を洗ってみました。
まずは実験準備
蚊帳を水洗いすると生地がダメになるので「水洗いはしないでください」とお伝えしています。
そこで、実際に天然繊維の蚊帳生地を洗ってみます。
洗濯方法と選んだ生地
洗濯するといっても、静かに水洗いするのと洗剤を使ってゴシゴシこするのでは結果が違うはず。
なので、洗い方も2種類やってみることにしました。
天然繊維の生地はタテ糸が綿100%、ヨコ糸がレーヨン70%, 麻30%の「片麻」と呼ばれるものを使います。
水色の蚊帳生地で、見分けるために白い布と赤い布とを端につけておきます。
用意したもの
- 片麻の蚊帳生地2枚
- 識別用のマーク2枚
- 中性洗剤
- 洗い桶(衣装ケースで代用)
- 台秤
- メジャー
- 物干しざお、洗濯ばさみ
実験方法
片麻生地(天然繊維)は1枚は軽く水洗いし、もう1枚は中性洗剤で洗います。
それぞれの洗濯後の変化を計測します。
片麻生地2枚は白と赤の布をつけて区別できるようにしておきました。
白は水だけで軽く洗うもので、赤は洗剤を使ったもみ洗いです。
洗濯前の状態(重さ)
まずは洗う前の重さをはかっておきます。
- 片麻(白)285g
- 片麻(赤)240g
洗濯前の状態(大きさ)
洗う前の生地の大きさは次のとおりです。
- 片麻(白)2.32m×1.94m
- 片麻(赤)1.98m×1.94m
洗濯実験①(片麻・水洗い・白ラベル)
では実際に洗ってみましょう。
まずは白いラベルをつけた片麻生地です。
水だけで優しく押し洗いしてみます。
洗い桶代わりの衣装ケースに水を入れて生地を沈めます。
そっと優しく洗います。
なんだか手がぬるぬるする……。
生地を固める糊が溶けているのでしょう。
軽く絞って重さをはかってみます。
285gの生地が水を含んで765gになりました。
洗う前の3倍近くの重さになりましたね。
今回は大きくない生地だから水も絞りやすいのですが、大蚊帳だとうまく絞れないはずです。水を含んだ重さはおそらく3倍以上になるでしょう。
天気がいい日なので外に干します。
溶けた糊が手について、べたべたです。
人様にちょっかいを出すにはちょうどいい具合です。
でも嫌われるのでやめましょう。
(でもお子さんは面白がってそこらじゅうを触りまくると思います…)
生地は20分ほどで完全に乾きました。
さすが蚊帳生地です。
物干しざおからはがすときにペリペリペリ……と音がするのは糊がくっついたからですね。
洗いあがりの生地はパリパリしていて、糊付けしたシャツのような感じです。
水だけで優しく洗ったので生地の目はさほど荒れてはいません。
ただ、干す場所によっては虫やゴミがつくかもしれません。
洗濯した意味なくなっちゃうわ~
洗濯実験②(片麻・洗剤使用・赤ラベル)
赤いラベルをつけた片麻の生地は洗剤で洗ってみます。
今回は台所用の中性洗剤を使い、ゴシゴシ洗いました。
洗剤を使っているので、糊のべたつきはありません。
洗いあがりも糊気がないので生地が柔らかいです。
軽く手絞りした重さは690gになりました。
洗う前の重さは240gだったので、3倍近くになっています。
ちなみに6畳用の片麻の蚊帳はだいたい2㎏です。
洗濯して水を含むと6㎏くらいになるはず。
重くて干すのが大変ですよ。
洗いあげた生地を天日干しにします。
水だけで押し洗いしたものに比べて、蚊帳生地の目が荒れているのがわかるでしょうか。
生地の隙間から蚊が侵入するので要注意だよ
洗濯前後の比較
洗った服が縮んでワンサイズ小さくなるのはよくあること。
蚊帳生地も同じです。
洗濯後の生地の大きさを測ってみました。
- 片麻(白)2.32m×1.94m ⇒ 2.20m×1.88m
- 片麻(赤)1.98m×1.94m ⇒ 1.80m×1.85m
両方とも約10㎝ずつ、5%前後縮んでいます。
麻や綿の蚊帳を洗濯すると
- 生地が縮む
- 生地が荒れる、穴が広がる(特に洗剤でもみ洗いしたとき)
- 干すときに重い
- 手がべたつく(水だけで洗ったとき)
というデメリットがあるのがおわかりいただけたでしょうか。
タナカの天然繊維の蚊帳は、縦糸と横糸を糊付けして生地を固めています。
洗濯して糊がなくなると、糸がスリップして繊維に隙間ができます。
大きく空いた隙間からは蚊が入ってくるので、洗濯や水洗いはやめてくださいね。
また、今回は生地1枚だけの洗濯でしたが、蚊帳そのものを外干しする場合、場所の確保も大変かと思います。
蚊帳のお手入れ方法
蚊帳を片付けるまえのおすすめのお手入れ方法です。
- 部屋で陰干しする
- 掃除機でホコリやゴミを取る
- 汚れたところだけ、固く絞ったタオルで汚れをたたき出す
天然繊維の蚊帳は濡らさないのが大事です。
洗わずに、掃除機でゴミやホコリを取ってから片づけましょう。
どうしても気になる汚れがある場合は、その部分だけ集中的に汚れを落とします。
下にいらない布などを敷いたあと、固く絞ったタオルでトントンと汚れをたたき出してください。下の布に汚れを移すイメージです。
また、ぜったいに蚊帳を洗いたい方は、天然繊維の蚊帳ではなく、ポリエステルやナイロン製の「洗える蚊帳」を使ってくださいね。
洗える蚊帳は軽くて扱いもラクだよ
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記事を通じて蚊帳のすばらしさをお伝えします。
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