蚊帳は秋こそ必要!?気候の変化と蚊がもたらす日本脳炎に備えよう

蚊帳は夏のもの。そんなイメージがありますよね。

もちろん夏に使われることが多い蚊帳ですが、現代では秋にこそ蚊帳が必要なのではないでしょうか。

日本の気候が変化している今、蚊帳の使い方も変わってきているかもしれませんよ。

日本は亜熱帯になりつつある?

「昔はこんなに暑くなかったのに……」と思うことはありませんか?

気のせいではなく、実際に日本国内の気温は上がり続けています。

かつては熱中症になる人も少なく、扇風機で暑さをしのげました。
しかし、今や扇風機だけでは命の危険があるほど、夏の暑さは厳しくなっています。

10年ごとの日本の気温の変化

過去10年ごとの8月の日最高気温の平均を調べたところ、下記のようになりました。(数値は気象庁のHPより)

8月の最高気温の平均(℃) 東京 大阪 福岡
1993年 28.0 30.8 28.6
2003年 29.5 32.6 30.9
2013年 33.2 34.8 34.5
2023年 34.3 35.2 33.9

はっきり言って、今の8月は暑すぎます。

クーラーを使わないと暑さに耐えられない方も多いのではないでしょうか。

お盆のころに蚊帳の中で夕涼み、というのは昔の話になりました。

9月の最高気温の平均(℃) 東京 大阪 福岡
1993年 25.8 26.9 26.4
2003年 28.1 30.4 29.6
2013年 28.8 30.0 29.5
2023年 31.2 32.5 30.7

9月になってようやく夕方に涼しさを感じられる、それが今の日本の季節感です。

おおよそ、昔の8月の残暑が今の9月の気温です。

秋の蚊と危険性

また、気候が変わったことで夏真っ盛りの蚊は減り、その代わりに秋に蚊が出るようになりました。

夏には一生懸命おこなっていた虫除けも、秋になるとつい手を抜きがちです。

しかし、近年では蚊が多いのは秋なのです。

ぶたちゃん
ぶたちゃん

私も秋になってから蚊に刺されました

今年2023年9月には、熊本県で蚊が媒介する日本脳炎の感染が発表され、意識障害なども起きて入院しています。
2022年には5名の日本脳炎感染が確認され、うち1名が死亡しています。
日本脳炎は感染件数は多くないですが、簡単に見過ごすことができない病気です。

気温変動からも、虫除けの視点からも、今は秋が「蚊帳のシーズン」と言えるのではないでしょうか。

秋の訪れと蚊帳の季節

蚊帳は、虫除け対策として重要な役割を果たします。
日本脳炎を媒介する蚊をシャットアウトするにも蚊帳は有効です。

蚊帳の選び方や設置のポイントをご紹介します。

秋の特徴と蚊の活動状況

 

猛暑では活動できなかった蚊にとっては、現代の秋は過ごしやすい季節です。
昔は秋になると蚊が減りましたが、今では夏より多く蚊が出てくる地域もあります。

特に、水たまりや湿地帯など、水が近くにある場所には注意が必要です。

秋も深まり冬が近づくと、気温や湿度が下がって繁殖が難しくなるため、蚊の数も減ってきます。

蚊帳の必要性と効果

蚊帳は、蚊や他の害虫から身を守るために欠かせないアイテムです。

日本脳炎ウイルスを媒介する蚊(主にコガタアカイエカ)は、日没後に活動が活発になります。
そのため、蚊には睡眠中に刺されることが多く、かゆくなったり腫れたりします。
蚊帳を使用すれば、蚊がいない場所で安心して眠ることができますよ。

また、蚊帳は蚊以外の害虫やホコリからも身体を守る効果があります。
底付きで全面を覆う6面体タイプの蚊帳を使えば、ムカデがベッドや布団に入ることもありません。

ムカデは刺されるととても痛く、アナフィラキシーショックを起こすこともあります。ムカデを避けるためには6面体のファスナー付きで底付きの蚊帳がとても役立ちます。

清潔で安全な環境を保つためにも、蚊帳は有効なのです。

日本脳炎に備えよう

日本脳炎は、蚊を介して感染するウイルス性の病気です。

予防方法や蚊帳の使用についてもご説明します。

日本脳炎とは何か

日本脳炎は、日本やアジア地域(東アジア・南アジア)で発生している病気です。ブタなどの動物の体内でウイルスが増殖した後、その動物を刺したコガタアカイエカ(水たまりや草むらに発生する蚊の一種)などがヒトを刺すことによって感染します。

日本脳炎はヒト同士で直接伝染することはなく、主に蚊を媒介して感染が広がります。

日本脳炎に感染すると、6~16 日間の潜伏期間の後に高熱や頭痛、嘔吐などの症状が数日間にわたって現れることがあります。
重症化すると、意識障害や麻痺など神経系の障害を引き起こし、後遺症を残したり死に至ることもあります。

死亡率は20〜40%で、子どもや老人では死亡の危険が大きいので特に注意が必要です。

感染のリスクと予防方法

日本脳炎の感染リスクは、蚊に刺されることで高まります。
特に、夜間や早朝に蚊が活動するため、屋外での活動時には注意が必要です。
日本脳炎の予防方法としては、なによりも蚊に刺されないことが重要です。

蚊に刺されないよう、下記の対策が有効です。

  • 夏の夜間の外出を控える
  • 戸外へ出る時は長袖・長ズボンなどを着用し、肌の露出を減らす
  • 虫除けスプレーなどで対策する
  • 網戸を使って蚊が家に入らないようにする
  • 蚊帳で虫の侵入を防ぐ

日本脳炎の予防接種について

また、予防接種も日本脳炎の予防に有効です。予防接種を受けることで、日本脳炎の罹患(りかん)リスクを 75~95%減らすことができると報告されています。

平成7~18年度生まれの方は日本脳炎の予防接種の機会を逃していることが多いです。
母子健康手帳などを確認し、未接種であれば市町村からの案内に沿って予防接種したほうがいいでしょう。

蚊帳の役割と日本脳炎の予防効果

蚊帳は、蚊やムカデなどの他の害虫から身を守るだけでなく、日本脳炎の予防にも効果があります。

蚊帳を使用することで、蚊に刺されるリスクを減らすことができ、日本脳炎感染の予防につながります。

蚊帳は主要な居室や寝室に設置しましょう。特に、夜間に蚊が活動するため、寝るときには蚊帳を使用するといいでしょう。

蚊帳の選び方と設置のポイント

蚊を避けるための蚊帳を選ぶ際には、メッシュの目の細かさや素材の耐久性を確認しましょう。

目の細かいメッシュは、コバエなどの小さな虫やホコリも防ぐことができます。

また、耐久性のある素材を選ぶことで、長期間使用することができます。
信頼できるメーカーの蚊帳を使うようにしましょう。

素材による蚊帳の違い

蚊帳の素材によって洗濯ができるものと洗濯できないものがあります。

一般的に、ナイロンやポリエステル製の化学繊維の蚊帳は洗濯できます。

麻や綿など天然繊維の蚊帳は水洗いできないことが多いです。

重量からも化学繊維の蚊帳のほうが軽くて扱いやすいです。
しかし、天然繊維の蚊帳は独特な風合いがあり、レトロな味わいで好まれます。

化学繊維 天然繊維
素材 ナイロン・ポリエステルなど 麻・綿・絹など
洗濯(水洗い)できるか 洗濯可能 水洗いできない
重さ 軽い 重い
価格 比較的お手頃 やや高い~高級品

一度購入したら何年も使う蚊帳なので、自分が使う状況をよく考えて選びましょう。

蚊帳の設置方法

蚊帳の設置は、寝室やリビングなどの居室に行います。

蚊帳をしっかりと固定し、床と隙間ができないよう、また入口が開きっぱなしにならないように設置することが重要です。

日本脳炎対策には蚊帳を使おう

蚊帳を適切に使うことで、日本脳炎の感染対策ができます。

また、虫除けスプレーや予防接種など、蚊帳以外の対策も併せて行うことが重要です。

蚊帳の必要性や効果、日本脳炎の予防方法などを理解し、安心して秋を過ごしましょう。